僕は薬剤師という職業がら、アトピーや皮膚症状の患者さんにもお薬をお渡ししたりします。痒みや赤みがでて、お薬をもらいにくる赤ちゃんは、特にこの時期多いものです。
先日、皮膚科の池田先生の書いた「男が育休を取ってわかったこと」を読みました。僕自身、育休を取るつもりなので、それを学ぶつもりで読みましたが、アトピーの予防する方法など、皮膚科医としても濃い内容でした。
過度なきれい好きが皮膚疾患を引き起こす?
日本はアトピーが多い。その原因はお風呂に入る習慣などの、過度に清潔にしすぎている点も考えられえいる。
チベットでは、アトピーはまったくいない。日本とチベットで大きく異なるのは入浴回数であり、入浴回数は15倍も異なる
日本の過度のきれい好きが、逆に肌を傷つけてアトピーなどの皮膚症状を引き起こしていた可能性があったことに驚きました。
池田先生は、赤ちゃんの時は、毎日の入浴を習慣にしないで、週2〜3回がちょうどいいと話します。
また、赤ちゃんはお湯に浸かると乾燥肌になりやすいので、つかるのは2〜3分までで、お湯の温度も37度がすすめられています。
それは、入浴により皮膚が持っているバリア機能を低下させることにつながるからです。
石けんは界面活性剤
界面活性剤とは、本来混ざり合わない油と水を混ぜ合わせることで、油を浮かせて落とす働きがあります。石けんや洗剤は界面活性剤の働きにより、油を落とす働きがあります。
ただ、ここに注意する点があります。
界面活性剤は、汚れと同時に、大切な肌のバリア機能まで落としてしまうのである。バリア機能を構成するのは、角質の表面にある皮脂と、フィラグリンやセラミドといった確執細胞間脂質、そして天然保湿因子といったものであり、これらは水よりも油に近い成分でできているため、界面活性剤で簡単に脱落してしまうからだ。
皮脂というと、何か汚いものを想像してしまいますが、肌を守る大事なバリア機能です。そういった、大事なバリア機能を石けんという界面活性剤で傷つけてしまうことで、自らバリア機能を弱めてしまうのです。
洗濯洗剤のすすぎ残りも皮膚炎の原因になる可能性があります。お急ぎモードは使用しないようにしましょう。とくに気になければ、洗剤を使わないのも一つです。
基本的に石けんは不要
赤ちゃんの肌には石けんは必要ありません。清潔さを保つためにぬるま湯洗いで十分と池田先生は話します。
例えば、うんちやおしっこで汚れてもぬるま湯で十分であり、ウェットティッシュのようなお尻拭きでこすったり、石けんで毎回使って洗うことで皮膚のバリア機能が損なわれます。
石けんの本来の役割は、感染症対策です。決して肌のためにやさしい訳ではありません。
石鹸を使ったほうが良いケース
感染症対策として
次のようなケースの場合、石けんの使用してもいいと、池田先生は話します。
- 皮脂の分泌が過剰なとき 新生児ざ瘡、脂漏性湿疹などのある部位
- とびひ、化膿した傷など細菌性感染症がある時
- ほかに匂いが気になるときなど、頻繁でない程度に
あとがき
本書を読んで、石けんに対する見方が大きく変わりました。日本人はある種、清潔に関して過剰にする「アレルギー症状」傾向にあるのかもしれません。
この本を読んでから、食器洗いの洗剤の使用も、脂っこいものを使ったものなど、必要と判断したものだけに使うようにしています。そうすると、食器をこすりながらすすげるので、食器洗いが早く終わるようになりました。
是非、赤ちゃんがいる方や、これから赤ちゃんが生まれる、欲しいと思う方には夫婦で読んでほしいなと思います。
前半を読むと、育児の大変さも感じられます。
最後に本書に載っていた素敵な言葉を紹介します。
「育ってきた家庭環境も教育方針もまちまちな男女が結婚生活を営む上で必要なのは、お互いの知恵と努力を働かせることである」
【参照】