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「おくすり手帳の謎」への薬剤師の考え

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 永江さんのブログで、お薬手帳について話題になっていました。

いち薬剤師としての考えをまとめます。

どうして電子化しないのか?おくすり手帳の謎 | More Access! More Fun!

 

 

 

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お薬手帳のアレコレ

お薬手帳を利用する人と利用しない人では、2014年4月からの制度では、金額に70円の差がでます。3割負担の人は20円、1割負担の人は10円程度の差になります。

制度上はお薬手帳のシールをお渡しするだけでは算定できないことになっています。手帳に貼らないといけないのです。

ですので、手帳にシールを仮止めしてお渡しする薬局もありますね。

利用していない人は、「忘れた」ではなく「利用していません」

薬局では保険証とお薬手帳は確認するところが多いと思います。「お薬手帳ありますか?」と聞かれたら、「利用していません」と返せば、普通は算定されないはずです。

「忘れました」だと算定されて手帳に仮止めしたシールで渡されてくる可能性が高いです。

勧められても「いりません」「必要ありません」で普通は加算されないはずです。

こちらもいらない人に無理強いしたいわけではありません。

お薬手帳の必要な人、不要な人

お薬手帳について、定期的にお薬を飲んでいる方については、持つことをお勧めします。

たまに、臨時薬しか飲まない人で、特にアレルギーや合わない薬がない人は不要かもしれませんね。

特に僕が定期的にお薬を飲んでい人にとって手帳が大切だと思ったのは震災です。

震災の時にお薬手帳を持ってた人はこれまでの経緯や今、飲んでいる薬がわかって、本人も医療従事者も助かりました。

血圧の薬を飲んでいる、血液さらさらにする薬を飲んでいるじゃ、何の薬かはわかりません。特にワーファリンなどは何錠のむか変わりやすいものですし、その調整というのも大切です。

どの程度の強さの薬をこれまで飲んでいたかが経過的にわかるのは大切です。

また、一部、病院の診療ができないところでは、非常事態としてお薬手帳に沿って薬をお渡ししていいという特例もでました。

震災時、お薬手帳が機能発揮!|城山病院

これって結構、大事なことです。病院が診察できない、処方箋が出せなくても、日頃使っているお薬手帳を薬局にもっていけばお薬もらえる可能性があるということです。

この震災で、お薬手帳の利用率を上げたいと思った厚生労働省が「薬剤師に手帳を使うように説明しろ!そうしないと値段を下げる」ということで、こんなルールになったわけです。

経緯として手帳をつくっても、作らなくても値段は変わらないにしたら、手帳の利用率が下がった…「薬剤師、仕事してないじゃん」というのもあるんです。なら、点数を下げようということです。

電子お薬手帳について国方針

厚生労働省は2015年度末までに、全国の薬局の30%以上で電子お薬手帳が使えるようにする方針を掲げています。30%というと1万5千程度の薬局です。

ただ、方針を掲げているだけで、具体的には一切何もしてません。現在の制度上では電子お薬手帳のみだと、上記の70円の算定ができません。

「お薬手帳のシールを手帳に貼らなければ算定はできないから」ですね。

薬局としては電子お薬手帳は勧めるだけ損なんですよね。設備にはお金はかかるのにもかかわらず、算定はできないわけですからね。

だからこそ、永江さんのブログにも書かれているように『紙の手帳と併用』ということにして、算定しているわけです。

「紙の手帳は使いません!電子手帳だけにしてください」と声高に言えば、紙の手帳を作らない代わりに算定を外してもらえるかもしれません。

また、電子化といっても一つの規格に統一されていません。スマホのアプリに登録することもあれば、電子カードとしてのサービスもあります。

アプリもいろんな会社から出しています。患者囲い込みのために、大手のチェーン薬局では自社でアプリを開発しているところもあります。

アイン薬局とか、アイセイ薬局とか、日本調剤とかとか。。。結構な金をかけて作っているんですよね。

あとは地域ごとにも、市町村独自でもやっています。

 個人的には、保険証と一体型の電子カードが一番ですね。これだと、保険証の確認もできますのでね。

あとは震災、停電の時にも対応できるような仕組みが必要かなと思います。でっかい病院の場合は自家発電があるので、なんとかなりますが、停電の薬局に「お薬ください」といって電子カードを持って来られても対応しようがありませんからね。

患者さんにお渡しする紙について

僕も家に帰ったらすべてスキャンで電子媒体にして、紙は捨てるタイプなので、あの薬局の紙の量は多いな‐と思います。

ただ、それも制度で決められたことなので。

お薬の説明書きについて

お薬の説明書きをいらないといっても、2014年の制度では金額は変わりません。昔はそれで金額が変わったようですが、今は変わりません。

明細書

5年ぐらい前ですかね。点数を書いた明細書を渡すことになりました。こちらは、患者さんが不要といえば出力しなくていいと決まっています。

見ない人は、ぜひとも「明細書は不要です」といってください。紙の…資源の無駄遣いですのでね。

厚生労働省としては、少しでも見て、どういった内訳でお金をとられているのか知ってほしいという思惑があるのでしょう。

ただ、多くの人は見てもよくわからないですし、見ないで捨ててしまうと思うのですがどうでしょうか。

ちなみに、上記のお薬手帳の点数については、薬剤服用歴管理指導料(手帳なし) 34点という風に記載されていますかね。手帳利用の場合は41点です。

薬袋

それぞれお薬の飲み方がわかる袋に入れてお渡ししないといけないといったルールがあるので、基本的にはこのルールに沿ってお渡ししています。

ただ、種類が多く、毎回同じ薬を飲んでいる人にとっては邪魔ですよね。

ここらへんの紙文化は、ぜんっぜんスマートじゃないなと思っています。

かぜ薬をちょっと安くする裏ワザ?

医師に「飲み方を同じにしてください」というと少し安くなるかもしれません。

というのは、院外処方の場合、お薬の値段の計算の仕方って変わっていて、単純なお薬の値段じゃないんです。

服薬時点が3つまでだと、服薬時点ごとに調剤料というものが加算されます。

例えば、3種類薬があって、それを、朝食前、朝食後、寝る前という風に飲むほうが、全てを朝食後に飲むよりも値段が高くなります。

7日分の処方だとすると、前者で35点×3、後者は35点と70点…700円も差が出てきます。3割負担なら200円以上ですね。

30日分だと2000円近いです。3割負担だと600円ぐらいの差がでます。

服薬時点を同じにすることで値段は減ります。(毎食後と朝食後は別の服薬時点としてカウントします。)

ただ、薬によって服薬時点が決まっているものもあるので、医師に言えば全てに対応してもらえるとは限りません。

特に漢方は食前服薬が添付文章で決まっていますが、エビデンスは微妙です。

漢方薬の食前投与に科学的根拠はないという指摘に対する製薬会社の対応 – 戸田克広 | ブクログのパブー

 
 
 

漢方の食前という添付文書での記載をなくすだけで、わざわざ食前に飲ますという病院や施設の負担も減りますし、医療費にも少しは浮くんですけどね。

ちなみに、「飲み方を同じにしてください」を薬局でいっても対応してもらえないと思います。処方する権限がありませんので。薬学的におかしいと思えば疑義照会をしますが、患者負担を減らすという理由だけで疑義はしないのが一般的です。

薬剤師がかぜ薬を飲むタイミング。できるだけ飲まない

ちなみに、薬剤師の僕のかぜ薬についての考え方は、「休養できない状態でないなら飲まない」です。

かぜ薬は風邪を治す働きはありません。あくまでも対症療法で、かぜの症状を緩和させる働きしかありません。

かぜを治すのは本人の免疫です。免疫を高めるのは休養です。眠れないほどのどが痛い、咳が出る場合は飲みます。

あとは、日中、仕事などの一時的にも症状を抑えておきたい時ですね。 ただ、漫然とは飲みません。つい先日も季節の変わり目で風邪をひきましたが、龍角散のど飴だけで十分でした。

あとがき

医療費の計算の仕方もわかりいくいですよね。そもそも円で計算すればいいのにとも思います。

40兆円弱の医療費…薬局に限らず、まずはわかりやすくしていくことが大事だと思います。

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